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鍼治療の研究

  • 2012年5月20日 16:44

 こんな研究記事がありましたので
紹介します

鍼灸治療は、現状広く行われています
ただ、漢方治療も含め 東洋医学治療は
西洋医学と比較し、"なぜこうなるか?"
という根拠に乏しい・・・・  
というか、根拠が出しにくい  ことが
多いです
このために、医者の間では怪しい治療として
扱われることが多いです

通われている方もたくさんいらっしゃる様に
実際の効果は、結構あるものなんですが・・・

僕も 年に1~2回ほど 肩こりがひどくて
動けなくなったことがあり
お世話になり、助けていただいたことがあります

そんな時勢で、このような研究結果が出てくることは
みんなにとって、望ましいことだと思います
引き続き楽しみに待ちたいです

以下に 添付させていただきます
よければ、お読みください
(写真は、お世話になった ちかみ鍼灸整骨院です)

100618100536.jpg

鍼治療の作用機序に新たな光
アデノシン分泌による末梢性鎮痛作用が明らかに

 近年は世界保健機関(WHO)や米国立衛生研究所(NIH)にも代替治療法として認定されるなど,その地位を確立しつつある鍼治療だが,生理学的根拠が十分に解明されていないために,生物医学的な立場からは鍼治療の作用機序についての検証が続けられてきた。既存の研究では,おもに鍼刺激がオピオイド分泌などの中枢性鎮痛作用を通して治療効果をもたらしている可能性に焦点が当てられてきたが,今回,ロチェスター大学医療センター神経外科学教授のMaiken Nadergaards氏らがNat Neurosci 5月30日オンライン版で発表した研究は,これとは異なる末梢性の鎮痛作用の存在を明らかにし,鍼治療に関する新たなエビデンスを提示した。
鍼挿入部位のアデノシン増加が慢性痛を緩和

 Nadergaards氏らのグループはまず,成体マウスの「足三里」のつぼ(膝中心から下へ3~4mm,外側へ1~2mmの部位。おもに胃部の症状に関連するとされる)に鍼治療を施し,そこから0.4~0.6mm離れた皮下・前脛骨筋から採取した間質液を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で分析。その結果,施術開始から30分後にアデノシンの一時的増加を確認した(N=8,P<0.05)。アデノシンは神経伝達に影響を及ぼす神経修飾物質として知られていることから,同氏らはこのアデノシン分泌が実際に生理学的効果を発揮しているのかどうかを炎症性と神経性の2種類の慢性痛誘導マウスを用いて検討した。

 同氏らがこれらのマウスの足三里に,アデノシンA1受容体のアゴニストであるCCPA〔2-chloro-N(6)-cyclopentyladenosine〕を局所投与(0.1mM,20μL)したところ,どちらのマウスでも一時的な鎮痛作用が認められた。また脳の痛覚中枢である前部帯状皮質の興奮性シナプス後場電位(fEPSPs)を測定した結果,この鎮痛作用は上行性神経路を介して中枢に伝わっていることが確かめられた。

 この鎮痛作用はCCPAを投与された側の足でのみ有効であったこと,また,A1受容体をノックアウト(KO)されたマウスに同様の慢性痛を誘導された場合は効果がなかったことから,CCPAの作用は局所的で,かつA1受容体を介した効果であることがわかった。さらにCCPA投与の代わりに足三里への鍼治療を施したところ,CCPA投与と全く同一の実験結果がもたらされたという。

 同氏らは,これらの結果から「足三里への鍼治療による慢性痛緩和は,一時的に増加したアデノシンが近接する上行性神経路に働きかけ,脳の痛覚中枢の興奮を抑えた結果だ」としている。ただし鍼治療によるfEPSPsの低下はA1受容体KOマウスにおいても若干認められたことから,鍼治療の場合は単なるCCPA投与とは違い,A1受容体を介さない別の作用機序が存在する可能性も示唆された。
アデノシン代謝の制御で治療効果が向上

 Nadergaards氏らは「鍼治療によるアデノシン増加は,傷ついた組織から漏れ出したATPが速やかに代謝分解され,アデノシンに変化した結果である」という推測のもと,この代謝過程を制御することでアデノシン産生を長期化できないか検討した。そこで同氏らが,AMPからアデノシンへの変換を促進する作用とアデノシンの再代謝を抑制する作用を併せ持つ核酸アナログ抗がん薬,デオキシコホマイシン(ペントスタチン)を慢性痛誘導マウスに投与したところ,施術部位ではより長時間のアデノシン増加がもたらされ,結果として,無投与時の約2倍に当たる4時間の鎮痛効果が認められた。デオキシコホマイシンには強い副作用があるため,鍼治療のための投与は現実的ではないが,この末梢性鎮痛作用の解明により,今後は鍼治療の効果を高める薬剤開発につながることも期待される。

 本研究は緻密な論理展開と丁寧な検証作業により,鍼治療の新たなメカニズムを明らかにした画期的な成果と言えるが,「なぜ足三里という部位が重要なのか」という点については十分に説明されていないと思われる。いわゆる「つぼ」と呼ばれる部位にどこまで科学的な信ぴょう性・特異性があるのかは,今後さらなる研究を通して検討されるべき課題であろう。

(サイエンスライター・神無 久)

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